友禅について

 

友禅(ゆうぜん)とは、布に模様を染める技法のひとつ。

日本の代表的な染色法である。 米製でんぷん質の防染剤を用いる(のりを使いにじみを防ぐ)手書きの染色法。

1976年には経済産業省指定伝統工芸品にも指定された日本の伝統的な染め工芸です。

 

友禅とは、友禅染の略で元禄時代に誕生。

日本の代表的な染色技法の一つです。

 

紙に図案を描き、そして白い生地に色を染め、そのあと模様描きや刺繍を施し制作されます。

このときに糊(のり)を使うのが特徴で、糊を用いて染料のにじみを防ぐことにより模様にくっきりと輪郭が現れ、

色を美しく染め分けることができます。

 

友禅の名前の由来は、江戸時代の扇絵師である宮崎友禅斎に由来します。

友禅の描く扇絵は人気が高く、その扇絵の画風を小袖の文様に応用して染色したのが友禅染と呼ばれるようになりました。

その後時代の流れとともに、様々な技法、特徴が生まれました。

 

友禅染めの種類

友禅染めは、大きく4種類あります。
・手描き染め
・型染
・機械捺染(きかいなっせん)
・デジタル染め


手描き染め 
手描き染めでの友禅(以下、手描き友禅という)は1着の着物が完成するまでに、20以上の工程があり「図案の下絵」「糸目糊置き」「挿し友禅」「地染め」「刺繍」など、それぞれの工程ごとに専門の職人がおり、分業されて制作されることが多いです。
分業制で製作されるため、それぞれの職人ごとに高度な技術を求められます。
手描き友禅というだけあって、手作業での染色による染料飛びやにじみなどが、手描きならではの風合いとして楽しめます。
現在では、手描き友禅の後継者は非常に少なくなってきており、大変気象なものとなってきております。


型染 
型紙を使って染める型染の「型友禅」は、色の数だけ型紙が必要となります。また図柄によってはぼかし表現もあるため、一枚の振袖に型紙が数十枚から数百枚用いられることもあります。
型染だけではなく、摺り(すり)や霧吹き染めなどの技法も用いられ、熟練の職人の腕がないと仕上がりません。


機械捺染(なっせん) 
機械を使って模様染めを行います。
文様を継ぎ目なく均一に、ムラなく綺麗に染められます。
図案の通りに染まるように型を機械にセットし、プリントするようなイメージです。
大量生産に向いている技法です。


デジタル染め 
インクジェットプリンターを使用して染めることができる「デジタル染め」
パソコンのグラフィックを上でデザインや色挿しをおこないます。
低コストで大量生産ができるので、プリント振袖の新技術として多く普及して来ています。



日本の三大友禅

友禅染には有名なものが3つ存在します。
それらを三大友禅といいます。
・京友禅
・加賀友禅
・江戸友禅



京友禅 



一度は耳にされたことある人も多いかと思います。
京友禅は三大友禅の中でも日本で1番最初に生まれた技法であり、宮崎友禅斎によって考案されたモノです。
京都の風景として親しまれている着物を鴨川の流れにさらして着物を仕上げる「友禅流し」も有名です。

京友禅は積極的に刺繍や金箔が施されており、京都らしく上品でやわらかい色調が特徴です。
京友禅を制作の際には行程ごとに分業し、技術のある専門の職人が作業を行い、手間暇かけて一着を仕上げます。
なかでも手描き京友禅は現在京都で作られる振袖の3%ほどしか制作されていないため、大変希少価値が高い着物です。


加賀友禅 



加賀友禅は石川県金沢市で染められる友禅のことです。
宮崎友禅斎が京都で友禅染を始めたあと、金沢で御用紺屋棟取・太郎田屋に身を寄せて、加賀友禅の基礎を完成させたといわれております。

草花や鳥などの写実的な「草花模様」が中心に描かれており、国指定の伝統工芸品で*加賀五彩を基調とする紅系統を活かした色使いが特徴。
模様の外側から内側へ向かって濃い色を薄い色にする「先ぼかし」や、木の葉などの模様に墨色の点で描く「虫喰い」の表現が特徴。
*加賀五彩・・・臙脂(えんじ)、藍、黄土、草、古代紫 の5色

 


江戸友禅(東京友禅) 



江戸友禅は東京を産地とする手描き友禅のこと。
江戸の町人文化から影響を受けて発展したため、京友禅と加賀友禅とは違い、都会的なおしゃれなデザインが多いのが特徴です。


生地色は藍、茶、白などの色調が単彩に抑えられているのも特徴
余白部分の多いすっきりとした構図で、色数少なく渋めの色も好んで使われる江戸友禅。
渋い色と合わせて糊を置いて白く抜いた部分をそのまま生かす「白上がり技法」を使う傾向にある。
その特色が生かされ、配色に冴えをみせる色留袖、付け下げに逸品が多いといわれる。
黒地の着物の裾まわりに模様を描く江戸褄 (えどづま) が有名。
江戸褄の図柄はのちに黒留袖へと受け継がれ、現代においても既婚女性の第一正装として着用されています。

2024年06月12日